研究概要 |
最近,省エネルギーを含めた広い意味で熱制御が唱えられている。伝熱制御の基本的考えとして伝熱面上の熱抵抗層を薄くすることが考えられ,その1つの方法としてオフセット型乱流衝突噴流がある。ノズルからの噴出流を伝熱面へ衝突させることにより熱抵抗を減少させ局所的に伝熱促進へ結び付けるものである。実用的には電子機器の冷却,フィルムの一様乾燥,高温鋼片の温度の均一化等における時間的・空間的熱伝達のコントロームにある。ノズル出口で既に乱流状態である乱流噴流は衝突時の詳細な資料が少く,本研究では伝熱特性と流動特性に焦点を絞って検討を行った。 平成4年度は主に伝熱特性を求めた。まず衝突面の温度測定に感温液晶を使用し,伝熱面の温度可視化と温度への変換システムを開発した。色分布の温度分布への変換には回帰式法を使用し,従来の狭帯域干渉フィルター法より精度向上と簡便さが得られた。1画素当り0.5〜1mmという稠密さで温度分布を得て,加熱部内の熱伝導による熱移動を考慮することにより正味の熱流束を評価した。正味熱流束を使用した局所ヌセルト数の勾配は,幾何学的岐点の主流側で緩やかで,レイノルズ数と傾斜角度に依存した平坦領域が存在する。ノズル傾斜に依存して副流側に最大値を有し精円形分布となる。熱流束補正の影響は全熱流束の6〜17%にも達する。平成5年度は,熱線流速計により衝突面付近の乱れ強さ,流速分布を測定した。幾何学的岐点の上流側に乱れ強さの勾配の高い領域,下流側に絶対値は比較的高いもののフラットな領域が存在し,伝熱促進に影響することが明らかとなった。パワースペクトラムによる周波数は80〜300Hz程度となった。ノズル姿勢,レイノルズ数に依存した比較的狭い空間での衝突噴流による伝熱流動特性を実験的に明らかにした。
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