本年度は、伝熱促進の対象となる平滑な水平伝熱面まわりの自然対流の流動・伝熱を中心に検討した。実験は等熱流束条件で加熱された有限幅の水平伝熱面上の自然対流を対象としたもので、試験流体として水を用いた。板短幅基準の修正レイリ数Ra^〓が、10^6<Ra^〓<10^<12>の範囲で実験を行なった。 まず、伝熱面表面温度分布を感温液晶によって可視化したところ、伝熱面上には、板の端から板中央部に向かって順に、層流境界層域、低温筋状模様域、非定常乱流セル域が出現することが解った。また、染料によって伝熱面上の流れを可視化したところ、伝熱面端部から流入した染料は、伝熱面に沿って流れた後、板から3次元的に剥離し、この剥離に入れ替わって伝熱面の上方にある低温流体が伝熱面に向かって流れ込むこと、また、この低温流体もやがて板から剥離し、この後に乱流セル状対流が生じることを明らかにした。つぎに、これらの可視化結果をもとに、伝熱面の端部から中心に向かう方向の局所熱伝達率を測定した。その結果、伝熱面上の局所熱伝達率に極大値と極小値が現れること、またこの極大値以降の板中心部においても、熱伝達率は一定とならず、板端からの距離xの増加と共に単調に減少することを見いだした。これら一連の知見は、まとめて論文として公表した。 一方、断熱素材からなる箱型フィンを、伝熱面に設置した場合についても実験を行なった。まず、フィン高さを一定(6mm)とし、フィンピッチを変化させた場合について、伝熱面温度分布の可視化を行なった。その結果、フィンピッチが20mm前後で最も熱伝達率が高くなることが解った。このとき、熱電対により測定した箱型フィン内の平均熱伝達率は平滑面のそれの1.2〜1.3倍程度であった。この値は、フィンを高熱伝導率素材で製作することにより、更に向上できると考えている。
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