研究概要 |
従来、研究代表者らは燃焼過程で生じる排気ガス中のNO_X等環境汚染物質の防除に、アーク放電プラズマを使用する可能性を検討してきており、低電力低温で安定作動するプラズマを排気ガスに作用することで、高い脱硝率が得られる結果を報告している。これより、本研究ではプラズマをさらに安定で同時に低電力作動させるために、高電圧、低電流のコロナ放電プラズマを用いることとした。ここでは基本的な放電であり、メカニズムも理解しやすい直流コロナ放電を用いる。とくに、マイナスコロナの使用で排気ガス中のダスト集塵の可能性もあり、また、高周波低波長放電と比較して安全性もある。 実験では管径、管長の異なる4種のコロナ放電管を設計製作し、空気流入時のオゾン生成特性、合成排ガス流入時のNO,NO_2,NO_Xの挙動などの基礎特性を求めて、最も気体の活性化特性の良好な放電管を検討した。また、排ガスを放電管に流入して活性化する従来の方式とは異なり、放電管に窒素のみを流入して窒素原子を生成させ、これを排気ガス中のNOと反応させて窒素酸化物を除去する直接流入方式の可能性を考察した。この方式により排気ガス中の酸素、水分の影響やCOの発生を小さくすることが可能と考えられる。以上により本年度は次の結果を得た。 (1)3mmφの真鍮製内側電極を使用した場合、負極性コロナの方が気体の活性化特性が良好である。 (2)放電管内に(N_2+O_2+NO)ガスを流入させた場合、入力電力や酸素濃度が高いほどNOにはNO_2に変換されやすく、また負極性の方が変換率が高い。 (3)N_2を放電管に直接流入し、生成された窒素ラジカルを合成ガスと混合する方式により、30W程度の入力でガス中の約10%のNO_Xを減少することができる。本方式のコロナ放電を用いればNOからNO_2への変換だけでなく、NO_X減少も十分可能である。
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