研究概要 |
2足歩行という移動形態は,人間が移動する環境をロボットが移動する際には最も適した移動方法と考えられている.また医学・生理学の見地から人間の2足歩行について多くの研究がなされているが,人間の歩行がいかに制御されているかを解明するためには,ロボット工学・制御工学的見地からの研究が必要不可欠である人間の歩行では,重力場を巧みに利用し,不安定な倒立振子としての運動を次々と続けることによって,全体として安定な運動が形成されている.本研究では,段差のある環境において,このような歩行をロボットで実現することを目的としている.平成5年度は,平成4年度の研究成果を基礎に以下のことを行った. 1.段差にまたがって前後の脚が着地している状態における最適な関節トルク配分について解明した.前脚が上の段にあり,後脚が下の段にある状態では,後脚の蹴りが前進及び上昇運動に最も大きな影響を持つ.本研究で用いるロボットでは,人間の足底と同様に爪先が曲がる自由度を持っている.この自由度を使って,蹴り相の前半では爪先からすこし手前で蹴り,後半では爪先で蹴る動作を行う.これは段差を滑らかに登る上では重要な動作である.この制御について,平成4年度に導いた動力学モデルを用いて解析を行った. 2.連続した登りの階段における最適な角動量変化パターンを求め,次にこの角運量変化を実現する関節トルク配分を決定した.このトルク配分を用いて、足底圧センサ及び光ファイバジャイロを用いた姿勢角センサを備えた2足歩行ロボットにより歩行実験を行った. 3.連続した段差における人間の角運動量変化を計測し,このような歩行をロボットにより実現した.
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