電子顕微鏡等の精密機器は通常、精密除振台上に設置され、精密除振台には振動吸収機能と高速・高精度なレベリング機能が要求される。振動吸収には柔らかいばねが、また、レベリングのためには剛いばねが必要であり、従来のばねとダンパからなるバッシブな制振機構ではこれらの相反する要求を同時に満足することは容易でない。このため、最近アクティブ制御の導入が強く求められている。 本研究では空気の圧縮性に起因する振動吸収機能を積極的に利用するため、空気ばねで定盤を支持する精密除振台を対象とし、空気ばねの内圧を電空比例圧力制御弁を用いて制御することにより、振動吸収とレベリングの両立を図る。 パーソナルコンピュータを制御用コンピュータ、センサには加速度センサと変位センサを使用し、制御対象の特性評価および振動解析はFFTアナライザを用いて行う。振動吸収を外乱抑圧制御、レベリングを目標値追従制御とみなし、これらの両立が期待できる2自由度制御法を応用し、その制御性能を調べた。外乱抑圧特性と目標値追従特性を通常のPI制御法と比較した結果、本制御系はPI制御法に比べて除振台のレベリング性能を悪化させることなく良好な振動吸収機能を実現できることが確認された。また、各脚間の干渉を外乱の一種とみなせば、これに対する本制御法の非干渉化の効果は明らかであり、多自由度の除振台制御系も各自由度ごとに独立に制御できる可能性がある。
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