機械、構造物、配管系などの地震時における振動をより効果的に抑制するためには、振動状況に応じて能動的に振動を制御する制振装置が必要となる。本研究では、超磁歪材料のデバイス化の一環として、超磁歪アクチュエータを用いた機械・構造物・配管系用の準能動型制振装置を開発することを目的としている。 本研究者らは、平成3年度より引き続いて、ボールねじ、ブレーキ板、超磁歪アクチュエータから成る準能動型制振装置の研究を行ってきた。この制振装置は、原子力プラントなどの高温環境中における配管用耐震装置として開発しているものであり、配管の熱膨張によるゆっくりとした変形に対しては抵抗力を与えることなく追従し、地震時には、配管の変形に応じた可変摩擦力により配管の変形を拘束するという特徴を持っている。試作した本制振装置を配管モデルに取り付けて地震応答実験を行った結果、従来の配管用耐震装置(メカニカルスナッバ)の1/2〜1/3の抵抗力で、高い制振効果を得ることができた。平成4年度においては、準能動型制振装置の研究と並行して、この準能動型制振装置に希土類磁石を組み込んだハイブリッド型の制振装置についても研究を行った。このハイブリッド型制振装置は、ブレーキ板(アルミニウム円板)が希土類磁石の磁極間で回転することによって生じる受動型磁気減衰力と、超磁歪アクチュエータの伸びによって生じる可変摩擦力を併用したものである。ハイブリッド方式は、消費エネルギを節約でき、受動機構がフェイルセイフの機能を持つので、準能動型よりも優れていると思われる。試作したハイブリッド制振装置を配管モデルに取り付けて地震応答実験を行った結果、メカニカルスナッパの1/5〜1/8の抵抗力で、配管の変位を制振装置なしのときの1/70程度に低減させることができた。
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