研究概要 |
機械、構造物、配管系などの地震時における振動および常時振動(機械振動)を抑制するためには,振動状況に応じて減衰係数を変化させる準能動型制振装置、この準能動型と従来の受動型を併用したハイブリッド型制振装置および振動を減少させるような制御力を発生させる能動型制振装置が効果的である。本研究は、超磁歪アクチュエータのデバイス化の一環として、超磁歪アクチュエータを用いた機械・構造物・配管系用の準能動型、ハイブリッド型および能動型の制振装置を開発することを目的としている。 平成4年度においては、ボールねじ、ブレーキ板(アルミニウム円板)、超磁歪アクチュエータ、拡大機構、ブレーキシューから成る準能動型制振装置およびこの準能動型制振装置に希土類磁石を加えたハイブリッド型制振装置を試作し、配管系モデルに取り付けて実地震波応答実験を行い、各制振装置の振動抑制効果を調べた。その結果、準能動型の場合は従来の配管用耐震装置(メカニカルスナッバ)の1/2〜1/3の抵抗力で配管の変位を1/18程度に低減させることができ、ハイブリッド型の場合はメカニカルスナッバの1/5〜1/8の抵抗力で配管の変位を1/70程度に低減させることができた。 平成5年度においては、上記ハイブリッド型制振装置を3層免震建物モデルに取り付けて実地震波応答実験を行い、制振装置の振動抑制効果を調べた。その結果、3層の絶対加速度を非免震時の1/3〜1/5に低減させることができた。また、超磁歪アクチュエータに4本の支柱を介して円板-集中質量系を取り付けたタイプの小型加振機を試作し、加振力のフィードバック制御実験を行った結果、30〜100Hzの振動数範囲でほぼ一定の加振力を得ることができた。これより、本加振機はアクティブマスダンパ(能動型制振装置)として使用可能であることが確かめられた。
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