本研究の目的は、各種反応性プラズマの特性解析のために構築を進めている画像処理を用いたプラズマ分光診断装置を、メタンと水素混合ガスのRFプラズマに適用して、同時に進行している計算機シミュレーションによるモデリングとの対応からアモルファス・カーボン薄膜生成法の評価を行い、プロセスの改良に関する指針を得ることである。得られた結果を以下に要約する。 1. 整合器を2台加え、電源のリモート回路を製作した。これによって0.1〜1.6MHzの範囲で、任意の周波数の電力を最大500Wまで、有効、無効電力を電圧値でモニタしながらギャップ間に供給して安定なプラズマを作ることができるようになった。 2. 吹き出し電極を設計製作し、2系統のマスフローコントローラを加えて、ガスフローシステムを完成させた。結果として生成するプラズマの混合比ならびに流速に関する精密な設定ができるようになった。 3. 高速ゲート型イメージインテンシファイアを加え、ゲート回路の製作によって、狭い範囲ながら時間分解機能を付加することができた。 4. 以上の装置の性能向上によって、気圧をパラメータとしたときの自己バイアス変化による発光の時間変化や流速、混合比、周波数をパラメータとした各種スペクトルのそれぞれの時空分解を行うことができた。今後周波数範囲を広げること、時間分解能を上げること、基板加熱装置を付加することを予定しているが、これまでの一連の成果に対して、英国電気学会(IEE)より論文投稿を勧められている。 5. 計算機シミュレーションに必要なメタンの電子衝突断面積のセットを求めた。現在、水素のセットを求めるべくボルツマン方程式解析を継続している。同時にモンテカルロ法によるRFプラズマの解析方法の開発を進めており、その成果を近く発表することにしている。
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