研究概要 |
ウエブレット関数が実数の場合と複素数の場合とウエブレット変換プログラムを作成した。幾つかの微小変動量間の相関関係を明らかにするために,実数ウエブレット関数として1)メキシカン・ハット,2)フレンチ・ハットおよび3)メイヤー・ハットの一つを選択出来るプログラムを作成した。良く性質の知られている一様カントール・セットに適用して,プログラムが正しいことを確認した。さらに特異点の検出等に適した複素ウエブレットを使用したプログラムを作成し,特異点を持つ関数に適用して,プログラムが正しいことを確認した。 大気圧と風速の微小変動の相互相関関係で,どのようなスケールの変動が優勢かを二次元面上に表示し,さらにそれぞれのウエブレット変換係数の相互相関係数を求めることで,どのスケールが関係が強いかを示すことに成功した。さらに地表面静電界の時間変化と大気圧の特徴的な微小変動との間の関係,即ち,大気の流れとそれによる雲内の電荷により誘起される地表面静電界の結び付きを明らかに出来た。これらの成果をもとに冬季日本海で多発する冬季雷を伴うメソ・スケール擾乱についての解析を行い,雷雲のモデルを明確に出来たので,その成果を気象学会機関誌である“天気"に発表した。 地表面における誘導電荷量の定量的解析等のような大気電気現象が地電位差信号にどのような影響を与えるか現在まで明らかにされていない。雷雲下での地中電流等の評価のためには地表面静電界と地電位差の同時測定が必要である。そこで現在の観測項目に加えて,新たに地表面電位差の観測を開始している。 ウエブレット解析をもとにして,微少気圧と風速の強い相関を検出することにより雷雲の接近を予測可能であることを示すことが出来た。さらに地表面静電界の信号を考慮することにより観測地点での落雷を予測する新しい襲雷予測法を提案することが出来た。
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