研究概要 |
多地点落雷現象の1つの手がかりとして、雷雲下層の負電荷と複数の鉄塔との間で多地点落雷が発生する場合を想定して、2組の平板対棒ギャップを用いて両ギャップ間で複数放電が生じる条件について検討した。その際、雷雲下の2本の鉄塔の標高差がある場合を想定して両ギャップの長さを変化した場合および標高差が同じでそれらの間隔が異なる場合を想定して両ギャップ間の間隔が異なる場合について検討した。その結果次のような結論を得た。 雷雲下の鉄塔間に標高差がある場合として、2組の平板対棒ギャップにおいて、ギャップAおよびBのギャップ長が異なる場合、ギャップAのフラッシオーバにより、他のギャップBの放電が誘発される複数放電の発生率を求めた。その結果、ギャップAのギャップ長が長い(フラッシオーバ電圧が高い)ほど、複数放電の発生率は高くなる。また、ギャップAのフラッシオーバ電圧が-17.1〜-51,4kVの範囲ではギャップBで複数放電が発生し始めるには9.4〜11.3nCの電荷量が必要であることを明らかにした。 鉄塔間の距離が異なる場合として、両ギャップ間の間隔が異なる場合、2組のギャップ間の距離が近いほど、複数放電発生率は高くなり、両ギャップ間の間隔が10〜30cmの範囲で、ギャップBで複数放電が発生し始めるには9.4〜11.5nCの電荷量が必要である。 以上いずれの場合も、両ギャップ間で複数放電が発生する条件は、複数放電が誘発されるギャップにおいて、コロナ放電からリーダ進展に転換するのに必要な放電電荷量(ギャップBのギャップ長3cmで、約10nC以上)が複数放電を誘発するギャップより与えられることが必要である。
|