研究概要 |
直流がいしの汚損フラッシオーバ現象に及ぼす各種要因のうち,従来明確ではなかった要因の幾つかを実験的に評価するとともに,物理・数学モデルを構築し,交流の場合の数値解析を実施してモデルの妥当性の評価を行った.次の段階として直流の場合へ展開可能のところまで到達した.2年間に得られた研究成果を以下に示す. 1.世界的に進められている直流がいしの汚損耐電圧特性に関し,全世界持ち回り試験の結果を総合的に解析し,直流汚損試験法確立へ向けた指針を得た. 2.汚損物に含まれる不溶性物質の種類の影響が大きいことを明らかにした. 3.従来考慮されていなかった周囲温度,気圧などの大気条件が,汚損耐電圧に無視できない影響を及ぼすことを明らかにした. 4.がいし表面のぬれ性も考慮すべきであることがわかった. 5.従来ほとんど行われていなかった直流汚損試験における漏れ電流波形の解析の結果,漏れ電流波形はがいしの種類や試験法により異なること,条件によってはかなり大きな電流が数秒間持続することが判明した. 6.従来の物理・数学モデルでは,汚損がいしは純抵抗として取り扱われていたが,今回静電容量をも考慮したモデルを構築して交流の場合の数値計算を実施した.計算で求められた漏れ電流波形は実測波形と良く一致し,このモデルの妥当性が確認された. 7.2段避雷器の物理・数学的モデルを構築し,がい管表面が湿潤状態で交流電圧を印加してから乾燥状態へ移る過程における分担電圧の時間的変化を数値解析した.分担電圧は場合によっては通常電圧の1.8倍にも達することが明らかとなり,内部素子の劣化ひいては避雷器の損傷を起こす可能性があることが示唆された.
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