研究概要 |
本研究では透明導電膜を2個の平板ターゲットを向いあわせる方法について検討した。その際、紫外線も同時照射したときの膜の抵抗率に及ぼす効果についても検討した。基板とプラズマの接触を少ない方が膜の抵抗化にはよく、ターゲットを斜めに向あわせるよりも平行に向かい合わせる方がプラズマの閉じ込めが強くなり、低抵抗膜が作製できることが判明した。そこで、より強い永久磁石を内蔵したターゲットホルダを作製し、平行に向かい合わせて作製した。低抵抗膜を作製するには低ガス圧の方がよい。この方法で硝子基板上で従来他の研究者の報告した膜と同程度の膜が作製できた。(1993.4月サンディエゴでの国際会議で発表)このような条件が達成されてから、基板面を紫外線で照射した場合の膜の抵抗率、キャリア密度、移動度への影響を評価した。その結果は紫外線照射はキャリア密度をわずかに上昇させるという結果が得られたが、ドラスティックな影響は及ぼしていないという結果であった。ただし、本研究では水銀ランプ光源を用いての平行ビーム照射のため光照射のエネルギー密度は比較的低い。しかし、この程度でも幾分効果が認められたということは、レーザー照射などを行えばより顕著な効果が期待できる。さらに、本研究の重要な結果として、2つのターゲットの一方をZnターゲットに変えてZnを意図的にド-ピングしたところ、従来エピタキシャル膜でしか実現できていない低抵抗の膜がガラス基板上に簡単に作製できた。これはZnO:Al膜作製においてはZnの不足が支配的な要因であることを示している。これに関してサンディエゴのIMCTFシンポジウム(1994,4月)に発表した。計画ではITO膜についても実験をおこなっているが、ZnO:Alの方が先に解明すべき点が多く、後々になっている。これまで膜作製時の高速粒子について観測している。(J.Vac.Sci.&Technol.1994に発表)ITOの本方式での膜作製は目下とりかかっている。
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