研究課題/領域番号 |
04650272
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研究機関 | 東京工芸大学 |
研究代表者 |
星 陽一 東京工芸大学, 工学部, 助教授 (20108228)
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研究分担者 |
鈴木 英佐 東京工芸大学, 工学部, 講師 (60113007)
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キーワード | プラズマ源 / 窒化鉄薄膜 / 対向ターゲット式スパッタ / イオンビームデポジッション / 磁気ヘッド材料 / 軟磁性薄膜 |
研究概要 |
本研究では高飽和磁化軟磁性薄膜の開発を目的として、窒化鉄系の軟磁性薄膜の形成を、申請者らが開発した対向ターゲット式スパッタ法および対向ターゲット式スパッタ形プラズマ源を用いた膜形成法により試みた。本年度は(1)プラズマ源から高密度のイオンビームを安定して引き出すために障害となっていたアーク放電への移行の防止法の検討(2)MgO単結晶基板上へのエピタキシャル成長による窒化鉄膜の形成、および(3)計算機シミュレーションによる膜堆積過程の検討を中心に研究を進めた。 その結果、電源の改善等により、イオン電流密度0.5mA/cm2以下であれば、安定に膜の堆積が可能となった。さらに、MgO(100)面に形成したFe単結晶薄膜は1000emu/cc程度の小さな飽和磁化を持つこと、このalpha-Feの(100)面上に窒化鉄膜を形成すると、alpha″-Fe_<16>N_2相の形成はX線回折では認められなかったものの、窒素を導入すると、alpha′相の形成と、飽和磁化の急激な増加が起こり、alpha-Feよりも大きな飽和磁化を示すようになることが明らかとなった。窒素が規則的に鉄の中に取り込まれるようになれば、alpha″-Fe_<16>N_2膜が実現できるようになると考えられる。 また、計算機シミュレーションにより、スパッタ粒子の入射角度分布がスパッタ法や基板上の位置で著しく異なること、基板の凹凸や、エピタキシャル成長の有無、基板上での原子のマイグレーションにより、堆積する膜の構造が著しく変化すること、などを明らかにするとともに、このシミュレーション法が、スパッタガス圧、ターゲット・基板配置、など、膜を堆積させる条件の最適化を検討する方法として有効であることを明らかにした。 今後、より多くのイオンを大面積で均一に引き出せるプラズマ源の開発を進めるとともに、イオンやラジカルの存在が膜堆積において果たす役割を明らかにしていく予定である。
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