研究概要 |
本研究は、代表者八木が開発した低磁心損失のCo基のアモルファス超薄帯の、一層の超低損失化および高透磁率化を図るための基礎的検討を行うことを目的としている。 本年度は、研究計画にしたがって、種々の合金組成の薄帯を作製し、さらに熱処理方法・条件を変化させ、アモルファス超薄帯磁心の高周波磁心損失および透磁率等の特性について検討した。その結果、次のような諸点が((Fe-Co)Cr_<0.06>)_x(Si-B)_<100-x>,(x=75〜81)について明らかになった。 1.単なる歪み取り熱処理では、xの増加と共に磁心損失が増加する傾向が見られるが、これに幅方向磁界中熱処理を追加すると、磁心損失の抵減を図ることができ、x=77で30%程度損失を下げることができた。また、幅方向磁界中熱処理のみでは、x=79で同様に30%程度の損失低減効果が得られた。 2.さらに、幅方向磁界中熱処理を施した磁心の透磁率の周波数特性について、MHz帯で改善効果があるが明らかになった。遮断周波数はx=79〜81で2〜3MHzの値を達成し、従来のバルク材料で報告されていない優れた周波数特性が得られた。 3.歪み取り熱処理および幅方向磁界中熱処理材料について、カー効果による磁区観察を行った結果、前者については極めて微細な磁区の生成が、後者については薄帯幅方向磁区の微細化と合金組成の関係が、明らかになった。
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