研究概要 |
将来の光集積回路の開発設計において,誘電体光導波回路用CAD(計算機支援設計)は必要不可欠である.申請者は1987年に,誘電体光導波回路中のCADソフトウェア開発の基礎理論に適用できる,新しいタイプの積分方程式(導波モード分離型積分方程式:Guided-Mode Extracted Integral Eqaution:略してGMEIE)を見いだした.新しいGMEIEは,複雑な誘電体光導波回路中の光伝搬および散乱を厳密に記述する.本研究は,GMEIEの数値解析における性質を詳しく調べ,さらにGMEIEを利用して,これまで困難であった誘電体光回路用CADソフトウェアの試作をする.本年度は以下のような成果を得た. (a)GMEIEは新しいアイデアに基づいているので,方程式の数学的な妥当性を調べなければならない.GMEIEを使って,精密解が知られている導波路不連続問題に適用し,結果を比べた.その結果新しい積分方程式の結果は精密解とよく一致し,新しい方法の数学的な妥当性が検証できた. (b)GMEIEの数値解析上の性質を,精密解と比べることにより詳しく調べた.特に,新しい積分方程式の積分範囲に対する数値解の収束,仮想境界の位置依存性離散化要素の大きさ依存性等の数値パラメータの影響を調べた. (c)簡単なCADソフトウェアを作製し,従来困難であった誘電体光導波路の曲がりの設計に応用した. 以上の結果は,電子情報通信学会(日本語論文),IEEE(英文),に発表,オーストラリア(シドニー)および,札幌で開催された国際学会発表(英文)で行った.特にシドニーでのURSI国際会議での申請者の発表論文は,会議委員会でRADIO SCIENCE誌会議特集号の掲載論文として推薦された.
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