研究概要 |
本研究代表者らは1987-1989年に,いわゆる光導波路散乱問題において,散乱係数と導波モードの係数にこれまで見逃されていた数学関係式が存在することを見いだした.この関係式を用いることにより光回路の設計手法として,新しい積分方程式[導波モード分離型積分方程式:Guided-Mode Extracted Integral Efuation(略してGMEIE)と呼んでいる]に基づいた新しいアルゴリズムを見い出した.この方法を用いれば,誘電体導波路散乱問題は大きなサイズの誘電体孤立物体の散乱問題に帰着させることができ,通常の境界要素法を利用して数値的に解くことができる.積分方程式を境界要素法を用いて解析する手法は,数値解析のもっともオーソドックスな手法であり,これまでに膨大な経験知識が得られている.従って,GMEIEを利用することにより光回路の設計にこれらを援用することができる.本研究では,以下の成果を得た. (1)光回路の新しい設計手法として,導波モード分離型積分方程式:Guided-Mode Extracted Integral Equation(略してGMEIE)+境界要素法(モーメント法)に基づいたアルゴリズムについて詳しく調べ,新しい積分方程式GMEIEの数値解析における様々な性質について調べた. (2)新しい積分方程式(GMEIE)を用いて光導波路の各種不連続部を解析し,厳密解が知られている光回路については従来の結果と同じものを得た.さらに,従来の手法では解析が困難な光回路の設計問題を解き,光回路CADの基礎理論(solver)として利用できることを明かにした. (3)新しい積分方程式(GMEIE)は,最近注目をあびている近視野光学(Near Field Optics),および量子電子波導波路等の回路設計にも応用できることを明かにした.
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