研究概要 |
本年度は,最初に,エンド・ツー・エンドの軽量プロトコルを研究する準備として,高速ネットワーク用の媒体アクセス制御(MAC)プロトコルの研究を行った.続いて,論理リンク制御(LLC),ネットワーク,トランスポートの3層を一つの層に縮退した単一の軽量エンド・ツー・エンドプロトコルを衛星通信に適用した場合について検討した. まず,MACプロトコルについては,DQDBとスロットリングの性能解析を行った.各端末が複数パケット分の送信バッファを持つDQDBネットワークを平衡点解析の手法でモデル化し,各端末のスループット,平均パケット遅延などを求めた.複数パケットバッファでのDQDBネットワークの解析は,これまで例がなく,本研究が初めてのものであると考えている.この成果は,平成4年10月の電子情報通信学会情報ネットワーク研究会において発表された.更に,BWBメカニズムでレート制御された有限バッファDQDBネットワークの解析も行っており,平成4年9月の電子情報通信学会秋季大会で発表している. 一方,スロットリングについては,各端末が有限バッファを持つ高速ネットワーク環境において,スループット,平均パケット遅延,バッファオーバフロー確率などを求めた.更に,トークンリング,レジスタ挿入リング,RISリングとの性能比較も行った.この結果は,平成4年11月,オーストラリア・メルボルン市で開催されたIEEE TENCON'92で,発表された. 次に,エンド・ツー・エンドプロトコルを一つに縮退した軽量プロトコルについては,implicitなコネクション確立・解放を行う方式を高速衛星データネットワークに適用した場合の性能評価を行った.この成果は,平成4年6月,米国シカゴ市で開催されたIEEE ICC'92で報告されている.
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