研究概要 |
本年度は,昨年度に引続き,高速MACプロトコルの研究や2階層プロトコルのモデル化・性能評価を行った他,新たに軽量エンド・ツー・エンドプロトコルの機構要素の内レートベースフロー制御方式についても定量的に検討した.更には,軽量エンド・ツー・エンドプロトコル実現のための予備的な実験も実施した. まず,高速MACプロトコルについては,複数パケット分の送信バッファを持つDQDBネットワークの性能を,昨年度より更に詳細に検討し,IEEE GLOBECOM'93で発表した.また,昨年度に検討したMACプロトコルの内スロットリングを取り上げ,これと軽量エンド・ツー・エンドプロトコルとを組み合わせた2階層プロトコルの性能を評価した.平衡点解析の手法により,二つの階層の相互作用を考慮した解析モデルを構築し,プロトコルの各種パラメータがシステム性能にどのように影響を及ぼすかを明らかにした.この結果は,電子情報通信学会情報ネットワーク研究会で報告された. 更に,高速ネットワークに適したフロー制御方式としてレートベースフロー制御方式を取り上げ,時変トラヒックに対する性能をシミュレーションにより評価した.特に,受信端末におけるバッファ占有量がしきい値を越えた時と下回った時に,送信端末のパケット送信間隔を動的に変化させる方式について定量的に検討を行った.最後に,高速軽量プロトコル設計の基礎データを収集する目的で,FDDI LAN(100Mbps)上において,トランスポートプロトコルとして,TCPとUDPを用いた場合の,それぞれのメッセージ遅延時間を測定した.この測定によって,既存プロトコルを高速ネットワーク上で用いた場合のオーバヘッドを定量的に調査した.
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