研究概要 |
磁気記録及び光磁気記録において,記録密度の伸びは年々とどまることを知らないように見える.それと共に,従来は一時近似として白色ガウス雑音を仮定していたヘッド・記録媒体を中心とする記録再生系における相加雑音に対しても,それぞれの記録システム固有の電力スペクトル密度を有する相加雑音として厳密な特性解析することが求められつつある.従って,本研究の目的の一つに,このような固有の雑音スペクトルを明らかにして,これに基づくシステム設計とビット誤り率を導出することがあった.解析結果及びシミュレーション実験結果から,この相加雑音スペクトル形状は記録密度に強く依存し,記録密度がディジタル情報系列の単位セル長の3倍(これは昨今の高密度化されたシステムで,よく用いられる性能である)程度に達するとかなり白色雑音に近付くことが分った. 他方,信号処理技術では最尤信号検出法(ML)であるViterbiアルゴリズムがこの分野の研究者・技術者にとってかなり一般的な概念となり,パーシャルレスポンス(PR)法と組合せたPRMLが広く磁気記録及び光磁気記録に用いられる動向となって来ている.このPRML性能は,適切な,符号シンボルの生起に相関のある記録符号と,さらに組合せることで,相関検出機能が一段と高められることが明かとなった.例えば,FMファミリー符号の場合では,用いる符号によりSN比の改善度合は15〜20dBも異なって来ている. 最後に,ここ一・二年の間に記録符号に新たな動きがあった.その一つが二次元符号であり,これについての検討も併せて行った.
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