本年度における研究実績は大きく分けて、次の2つからなる。 (1)内部バッファを持たない多段接続大容量交換機に関する研究 広帯域ISDNで重要なバーストトラヒックの影響を明らかにするために、本多段接統交換機で使用されるバッファを持たない単位スイッチにおけるバーストトラヒックの影響を解析し、次のような結果を得た。 (i)セル廃棄が生じた後においては定常状態におけるセル廃棄率よりも高い割合でセルが廃棄される。(ii)その高いセル廃棄率はバースト長が長くなるほど長い期間継続する。さらに(iii)バーストトラヒックによる性能の劣化を緩和するために初段にセル分配器を設けることを提案し、それが効果的であることを明らかにした。本研究成果はIEEEIntocom'93において発表予定である。 (2)マルチホップ光波通信を用いた大容量光交換機に関する研究 光波通信技術を用いた大容量交換機のアーキテクチャの提案およびその性能解析を行った。具体的には、(i)新たなマルチホップ光波通信網 RookNetの提案。本マルチホップ網は各ノードが2個の固定波長送信器と2(N-1)個の固定波長受信器を持つことを仮定する。そのようなノード構成をとることによって高速通信に適した簡単な経路制御が可能になり、かつ任意のノードへ最大2ホップで到達できる。(ii)RookNetの性能解析。RookNetにおける伝送遅延時間ならびに最大スループット特性を明らかにするために近似解析手法を開発し、その妥当性を検証している。 最大スループットは、ノード数が増加しても0.433程度になることを明らかにしている。本研究成果はIEE ICC'93において発表予定である。
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