研究概要 |
本研究課題はEBL(説明に基づく学習)などの機械学習の技法を,プログラムの合成・変換・検証などのソフトウェア工学の分野に応用することである.いずれも,対象とするプログラミング言語として項書換えシステム(等式言語)を想定している. 研究計画の初年度である平成4年度は主として,サーベイおよび準備的研究を行ない,次のような成果を得た.いずれも,すでに国際会議,研究報告等で公表している. 1.項書換えシステムの停止性の証明を「説明」としてEBL技法を使うには,機械学習システム自身がこの問題分野(停止性証明)の背景知識を持たなければならない.この背景知識として(1)非コピー項書換えシステムまたは(2)単純停止項書換えシステムの体系を用いると,停止性の証明がモジュール化できるため,背景知識として有望であることがわかった. 2.説明により与えられる知識をATMS(仮説に基づく真理維持システム)で管理することにより,停止性の検証を効率的に行なう手法を考案した. 3.本研究の対象分野はプログラムであるため,作成するAIプログラムはプログラムをデータとしてもつことになる.特に,知識のリフォーメーションを行ない,自らを改変していくのが究極の目標である.そのためのアーキテクチャとして,最近注目を浴びている自己反映計算(リフレクション)を採用し,項書換えシステムにこの機能を付加した言語を設計し,その処理系を作成した.
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