LSIテストに関しては、不良品を合格とする無駄コストという概念を新たに提案し、この点からテスト系列の長さがある程度大きくなると、出力を圧縮しないテスト法が従来の単一割算器を用いる方法よりもよくなるという事実を明らかにした。ついでプライオリテイエンコーダと算術論理演算ユニットのテスト出力にハフマン符号化、修正ジブ・レンペル符号化を行なうと、出力系列を40〜50%圧縮出来ることがわかった。また若しも有限の見逃し誤り率を許容する場合、単一割算器による場合はテスト出力全体を割算して初めて結果が得られるのに対して、ここで提案した方法によれば全テスト出力の1/2〜1/4を観測するだけで、同じ程度の見逃し誤り率を達成出来ることがわかった。また最近、見逃し誤り率を0にし、かつ出力を圧縮する方法として割算器の商に着目する方法が提案されたが、このような割算器の設計に全テスト出力を必要とする点、圧縮率の上限が50%という制約がある点等で、本方式の方が有利であると考えられる。以上をまとめて、平成4年8月の電子情報通信学会及び11月シンガポールで開催されたISITAで発表した。 検査回路の完全自己検査性設計については、アダマール符号の検査回路の設計法について研究を行い、平成5年3月の電子情報通信学会で発表する。また直流分一定となるBCH符号の検査回路についても研究を行なった。 情報理論研究の過去を知って未来の方向の探索に資するため、情報理論研究史を研究し、その一部を電子情報通信学会75年史及び電子情報通信学会情報理論研究会で発表した。またかねて研究を進めていた符号理論に関して、著書“符号理論入門"を出版した。 補助金のうち約80万円は使用したワークステーションのメモリ装置に、また約70万円は出張旅費、学生アルバイト謝金等に用いた。
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