研究概要 |
従来のソフトウェア信頼性評価技法を整理し,それらの適用状況を調査した結果,実用性の高い評価技法の抽出と,ソフトウェア信頼性評価における問題点の摘出を行うことができた.前者については,ソフトウェア開発のテスト工程におけるソフトウェアエラー発見過程を信頼度成長過程とみなして,テスト進捗状況の把握や信頼性の達成度合を計測・評価するソフトウェア信頼度成長モデルの中でも,ゴンペルツ曲線モデルと遅延S字形ソフトウェア信頼度成長モデルが多くのコンピュータメーカやソフトウェアハウスで有力視されていることがわかった.後者については,上記のようなソフトウェア信頼性評価モデルに対して,工数と信頼性の関係,検出エラーの複雑性,不完全デバック環境,運用段階での可用性,などを考慮する必要があることがわかった.このうち平成4年度では,実際のプロジェクトでの適用例も多いゴンペルツ曲線モデルを取り上げ,このモデルの問題点を指摘して,今まで単なる傾向曲線をデータに当てはめる回帰モデルであったものを,非同次ポアソン過程と呼ばれる確率過程を導入してソフトウェア信頼性評価モデルとしての妥当性を高めた.また,上記の問題点に対応する信頼性評価法として,テストに投入される工数などのテスト労力と達成される信頼性を関係づけたテスト労力依存型信頼度成長モデル,テストにより検出されるエラーの複雑性を反映した発見難易度を考慮した指数-S字形信頼度成長モデル,エラーの修正・除去作業が不完全であるテスト環境を考慮した不完全デバッグモデル,ソフトウェアの可用性(アべイラビリディ)評価のための基本モデル,フォールト数の状態空間を連続化した信頼度成長モデル,などの構築とデータ解析を行った.
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