前年度に構成したシステムを通じて画像に含まれるつや情報のデータベース作成に当たって、当該年度は、前に対象とした木の葉、粘土、皮革など表面形状が比較的平坦なものに加えて、陶器、果物、カラーボール、テニスボールなどの表面が平坦でないものへ対象を拡大した。さらに、つやについてもつやだしスプレーにより付加されたつやを対象とするほか、果物などが本来もっているつやの特徴抽出も試みた。 拡大した対象について画像全体の性質を見るために、明度L、彩度Sの値の頻度分布を求めたところ、つやなし、つやありの分布に差異のあることがわかった。従って、これらの対象の解析においても、L、Sの分布の解析を中心とすることとし、前年度実施したHLS色空間におけるL-S分布を求めたところ、L-S平面での解析の有効性を確認できた。さらに、対象画像のL、S値そのものについての統計量、平均、分散をつやなし画像、つやあり画像について求め比較を行った。この結果から、平均、分散にもつやの情報が現れることがわかった。 次に、同一対象物に対して、スプレーでのつや付加でなく、本来対象物が持っているつやの検出が行なえるような特徴量を求めて、テニスボール、リンゴ、カラーボールについて画像中のL、S値の勾配分布に着目した。すなわち、L、S値の勾配を二軸とする平面での画素の分布においてつやなしとつやありに明らかな差異があることが認められた。 今後、さらに対象を広げ、つやの種類による特徴の解析、対象物の性状との関連について調べたい。
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