前年度計画によって、実験システムおよび基本的なソフトウエアが大略において完成したので、今年度は、引き続き顔画像の処理とモデリング手法の問題点解決に努めるとともに、曖昧な特徴記述による顔画像検索のためのインデックスの自動抽出を試みた。 主な成果は以下の通りである。 1.第1年度検討した顔画像の動きから顔の要素を抽出した特徴点を決定する手法を、さらに改良するとともに、抽出された特徴点から自動的に顔画像のスプリングフレームを作成する手法を確立した。本手法は開眼および閉眼の2つの顔画像の空間およびフレーム間差分によって眼の位置を確定するため、画面内での顔の位置が一定でなくとも90%近くの成功率で特徴点の抽出が可能である。 2.第1年度で吟味した標準的な顔画像サンプル(約100種)を用いて、それぞれの顔の特徴をアンケートにより調査し分類を行った。この結果、評価者による分散が少なく対象となる顔による分散が大きくなる感覚的な特徴表現言語を選択して、顔画像のデータベース化のためのインデックスの目安とした。 3.上で選択した特徴表現毎に、3層ニューラルネットワークの学習を行い、複数のあいまいな特徴表現と顔の物理的な特徴点配置を関連づけたところ、人間の評価と比較的よく一致した。従って、本手法により顔のインデックスを作成することにより、顔画像をあいまいな特徴表現言語で検索できる見通しを得た。
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