前年度にプロトタイプとして完成し報告した触知グラフィックスエディタ(tenzu)は「晴眼者から全盲者へ」の図形コミュニケーションを支援するための道具である。これは点字をほとんど知らない晴眼者でも触図を作成に取り組めることを目的としたパソコンシステムで、点字プリンタプロッタ上に凸点による図形を作画できるものである。本年度は、本システム(tenzu)への機能追加を行うと同時に、より上位のシステムとして点字と図形混在文書の統合印刷システム(Brlview)を構築した。以下にその概要を示す。 (1)tenzuの機能追加(点字プロッタと立体コピー機インタフェースの統合化) 従来の点字プロッタに加えて、今回立体コピー機による触図作成ができるようにした。このため点字プロッタとページプリンタ(立体コピー原図作成用)の図形/点字出力インタフェースの統合化を行った。 (2)点字と図形混在文書の統合印刷システム(Brlview)の作成 一般文書や書籍の点訳においては本文の点訳と図形部分の触図化が別々に行われ、最終的にページ割り付け編集を経て冊子化/製本化される。本システムは点訳された本文と(1)のtenzuで製作された触図を統合したページ割り付け編集を行い、点字図形混在印刷文書として画面プレビューができ、最終的には点字プリンタプロッタへの印刷、立体コピー原図の印刷等を行うものである。点字をあまり知らない晴眼者でも容易に点字データの入力ができること、校正等のためのルビ表示印刷機能などに特徴がある。また研究発表としては、上記システムに関する論文を93年夏に和論文紙に投稿した。しかし査読に大幅な時間が取られたため、本年度分を使用しての印刷予定はなくなった。その他、二三の学会・会議において図形技術関連、特殊教育関連の発表を行った。
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