研究課題/領域番号 |
04650340
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
宇佐美 興一 電気通信大学, 電気通信学部, 講師 (60017407)
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研究分担者 |
後藤 俊成 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (70017333)
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キーワード | 冷陰極 / トンネルエミッタ / トンネル効果 / トンネル素子 / MIS素子 / Si酸化膜 / プラズマ酸化 / ホロー放電 |
研究概要 |
本年度はこれまでに確立したホロー陰極プラズマ酸化による薄い酸化膜を用いてMIS型トンネルエミッタ素子を作製し、真空中への電子のエミッションの測定を行った。さらに、トンネル絶縁膜の結晶性に注目し、Si基板上にBaF_2をヘテロエピタキシャル成長させ、これを用いたトンネルエミッタの特性についても検討した。以下、その結果をまとめると次のようになる。 (1)素子の作製と酸化膜の評価 n-Si基板上にホロー陰極プラズマ酸化法により室温でSi酸化膜を形成し、この上にメタルマスクを用いて金の上部電極を蒸着して1mm×1mmのMIS型トンネルエミッタ素子を作製した。この素子の酸化膜の厚さはエリプソにより、ストイキオメトリはESCAにより評価した。その結果表面では良好なSiO_2が形成されているが、深さ方向の遷移幅が熱酸化膜で報告されている値と比較して大きかった。これは、膜中に酸素が不足しサブオキサイド層が形成されていることを示しており、良質な絶縁層を得るにはプラズマ酸化時にある程度の基板加熱が必要であることがわかった。 (2)エミッション電流の測定 試作した素子は、ほぼ10V以上の電圧でダイオード電流が流れはじめ、Fowler-Nordheimプロットから電流の大部分がトンネル電流であることがわかった。この素子について10^<-8>Torr台の高真空中でエミッション特性の測定を行った。その結果、素子間でばらつきがあるが平均5pA程度、最大で800pAのエミッション電流が得られ真空中への電子放出が確認できた。これらのばらつきは、エリプソの測定結果から、酸化膜の膜厚や均一性の制御が不十分である理由によることがわかった。 (3)結晶性絶縁膜を用いた素子の検討 Si基板上に結晶性のすぐれたBaF_2およびMoの薄膜をスパッタリング法を用いて積層し、MIS素子を作製するプロセスを検討した。末だ、完全なヘテロエピタキシャル条件が得られていないため、エミッション特性を測定した結果は1pA以下の電子放出に留まっており、今後の課題である。
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