研究概要 |
平成4年度は,2つの非線形導波路から構成される非線形方向性結合器(NLDC)のスイッチング機能と光パワー・フィルタ機能について解析を行い,以下の成果及び知見を得ている。 1.直交選点法による精密な数値解析の結果,対称構造のNLDCにおけるスイッチングの臨界パワーが改良された結合モード理論から予測される値よりもかなり小さくなることを明らかにした。 2.非対称な構造の位相不整合型NLDCが,導波路間隔と比屈折率差を適当に選ぶことにより,光パワー・帯域フィルタの機能を有することを数値的に明らかにした。 3.対称構造のNLDCにおいて,一方の導波路に信号光を他方の導波路に制御光を入射させることにより,凡そ25dBの消光比で制御光による信号光のスイッチングが可能であることを明らかにした。 4.結合モード理論をNLDCに適用する場合,非線形効果による自己位相変調の強さと2つの導波路間の線形的な結合の強さの大小関係に応じて,異なった取扱いが必要であることを指摘して,結合モード理論の新しい定式化を提案した。 5.直交選点法を用いてNLDCを解析すると,入射光パワーの増加に伴って数値解のエネルギー誤差が増加する傾向にある。自己収束効果により光ビームのピーク位置が当初に設定した選点の位置からずれてくるために生じるもので,この問題を解決するためには,選点の間隔を適当に調整するスケーリングのアルゴリズムが有効である。 1.〜3.の成果の一部は既に公表しており,4.については,本年9月に開催予定の国際会議ISAE'93において公表する予定である。
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