研究概要 |
双共振・横振動音片を用いた圧電形振動ジャイロスコープにおいて,各種の駆動・検出法を適用した場合の等価回路を導出した。そして,印加角速度が零の場合の漏れ出力について等価回路考察し、漏れ出力の発生メカニズムを明らかにした。この結果、振動ジャイロスコープとして好ましい方法を等価回路考察の立場より明らかとなった。次に,この駆動・検出法を適用した音片ジャイロスコープの試作並びに実験を行った。また,漏れ出力についてその対策まで含めて等価回路考察を行った。さらに,漏れ出力の原因の一つである支持による機械的結合を避けるための支持の設計指針についても明らかにした。以下,結論を要約する。 (1)各種駆動・検出法を用いた音片ジャイロスコープの等価回路考察 まず,各種の駆動・検出法の比較検討した結果,2端子駆動・同一端子差動検出法が1端子駆動・2端子差動検出法よりも、漏れ出力発生ルートや共振周波数の温度変化が少なく,入出力間静電結合容量のない構成となり,好ましいことがわかった。 (2)断面内対角モード対を利用した音片ジャイロスコープの特性 本構成は報告者らの考察したもので,これに上記の2端子駆動・同一端子差動検出法を適用した振動ジャイロスコープを構成し、諸特性の測定を行った。この結果,本構成は圧電セラミックスの接着枚数が少なく安価で高安定となること、共振周波数の調整が容易なこと、漏れ出力の低減が比較的容易に実施できることなどのメリットがある。 (3)圧電形音片ジャイロスコープの漏れ出力の等価回路考察 漏れ出力の原因としては、音片の構造的非対称、内部残留歪や加工歪,支持に起因する機械的結合、力係数の余剰成分、入出力間静電結合容量などの存在が挙げられる。これらの影響を定量的に回路解折し,これらの影響が全くない構成を得ることは不可能であることを示した。
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