研究概要 |
本研究は,感度を開口面で変調することにより波面を到来方向に特有の符号系列として検出するように働く単一の信号線を持つ超音波センサと,これを用いる瞬時撮像系の開発を目的としている. 今年度は,実測波形に基づいてトランスデューサの特性や機械的位置などの校正を行うシステムの製作を進めた.また,M系列に従って感度を変調したトランスデューサを提案し,数値実験により指向性形成が可能なことを確かめた.この結果に基づいて設計したパターン電極を持つトランスデューサを高分子圧電膜により試作した. また,トランスデューサ2つを受信用として互いに電極パターンが左右対称となるように配置し,その間に置かれた送信トランスデューサから超音波を送信する反射型撮像システムを作製した. この反射型撮像システムを用いて撮像の予備実験を行った.その結果,相関による像再生オペレータにより,直径0.5mmの金属線の断面像を256×256画素で撮像可能であった.校正装置を用いた測定では,受信波形の歪みが観測され,この歪みは標的の場所や受信点に依存しないことがわかった.そこで,トランスデューサアレイの一つの要素と等しい材料と形状の微小トランスデューサでの実測波形により逆フィルタを設計した.このフィルタで受信波形を成形した後に相関オペレータで処理することで点像の形の歪みが補正されることが確認できた. また,波形の歪みやトランスデューサの取付け位置の誤差などを考慮した数値実験をおこなった.その結果,偽像レベルの増加の一つの原因として,取付け位置の誤差が考えられることがわかった.
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