研究概要 |
プラズマ乱流に関しては,非線形三波過程,四波過程など理論的にはかなり研究されているが,実験的研究は遅れていると言わざるを得ない。地球超高層(電離圏・磁気圏)プラズマ中では,ある種のプラズマ波動は三波過程にて発生しているのではないかとの仮説が提案されているものの,その実験的証拠は全くない。スペースにおける非線形三波過程の実験的検証はTanaka,Hayakawa et al.(1987,J.Geophys.Res.)の論文がはじめてである。この研究を大々的に発展させるため,スタンフォード大学との共同研究として,同大学の南極サイプルVLF送信基地からVLF波を送信し,それを上空の衛星にて受信する事となった。前年度には,このサイプル局のVLF信号のサイドバンド構造が三波過程によっている事がバイスペクトル解析より解明された。本年度では,別のデータとして,ロシアハバロフスク近傍のアルファVLF局からの送信電波をAureol3衛星にて受信した(電通大菅平宇宙電波観測所にてテレメトリ受信)データを用いた。これ又多くのデータの詳細な解析から,アルファ局VLF信号に対してもサイドバンド構造があり,これが三波過程による事を明らかにした。更に,三波過程の理論的考察も行った。
|