研究概要 |
本研究では,デスクリプタ・システムに対するH_2/H_∞最適制御およびH_2/H_∞フィルタリング問題を考察することである.得られた主な成果は以下の通りである. 1.離散時間ディスクリプタ・システムのH_2最適制御およびスペクトル分解に対する新しい解法を与え,ハミルトン正準方程式に関連した一般化固有値問題を利用して最適ゲインを求め,かつスペクトル分解を実行する数値アルゴリズムを提案した. 2.上述の結果を拡張して,離散時間デスクリプタ・システムの(J,J')-スペクトル分解のアルゴリズムを提案した. 3.連続時間デスクリプタ・システムの線形レギュレータ問題について考察し,新しい一般化リカッチ方程式を提案し,一般化固有値問題を利用してその解を構成する数値的方法を与えた. 4.連続時間システムに対するスペクトル分解アルゴリズムを拡張して,J-スペクトル分解のアルゴリズムを提案した. 5.J-スペクトル分解アルゴリズムおよびデスクリプタ・システムの安定化補償器の構成法に基づいて,デスクリプタ・システムのH_∞制御問題を解くアルゴリズムを提案した. 6.モデルマッチング手法により,全ての安定,不偏H_∞フィルタのパラメトリゼーションを与えた.さらに,重みつきH_∞誤差規範に基づく同一次フィルタの設計法を提案した.現在これらの研究はデスクリプタ・システムを対象としたものではないが,将来はこれらをデスクリプタ・システムのフィルタリングに拡張することも考えてる. 本研究の初期の目的であるデスクリプタ・リカッチ方程式を新しく提案し,これを用いたH_2/H_∞制御に関してはかなりの成果をあげることができた.しかし,具体的なデスクリプタ・システムの制御問題に本研究で提案したアルゴリズムを適用して,その有効性を確認するまでには至っていない.これは,今後の課題である.
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