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1994 年度 実績報告書

電気回路のもつ自己組織化機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 04650374
研究機関京都大学

研究代表者

倉光 正己  京都大学, 工学部, 講師 (40026084)

キーワード非線形電気回路 / 発振器 / 自己組織化 / カオス / カオス発生条件
研究概要

非線形電気回路に生じる現象のなかで,今年度は,トンネルダイオードのような非線形能動素子(滑らかな3次特性で表現されるもの)と,計3個の正値の(自然な)線形L,Cと,1個の線形R(正または負)の総計5個の素子で構成された3階発振器に生じるカオス現象について検討した。その主な結果は以下の通りである。
1.上記の3階発振器のなかでカオスを発生する回路の代表例であるDouble Scroll回路を対象に,非線形特性の大きさを示すパラメタを変えることにより,位相空間内での解軌道の変化の様子を明らかにした。その結果,カオスが生じるためには,(1)複数個の平衡点が存在し,それらがすべて不安定であること。(2)平衡点の安定性の変化が,上記パラメタの変化に伴い複雑に変化すること,という2条件が必要なことを見いだした。すなわち,カオスは平衡点の安定性の複雑な変化に伴う解軌道の複雑な捻れであると表現でき,その結果,平衡点の安定条件という局所的性質から,カオスという大局的現象の発生の有無を判断できると考えられることを示した。
2.前記のような5個の素子からなる3次元発振器は11個存在する。これらに対し上記の条件を適用することにより,11個の回路を4組のグループに分類できることを示した。これらのグループ分けに従い,線形抵抗Rが正の場合には2個の回路で,また負の場合には6個の回路にカオスが生じ得ることを予想し,実際シミュレーションにより,カオスの発生を確かめた。また,この考え方から,カオスの発生するパラメタ値も予測できる。
3.以上の結果,従来,偶然にあるいは試行錯誤的に発見されてきたカオス発生を,回路の平衡点の解析から事前に予測可能となった。今後,非線形特性がより一般的な場合,および,より高階の系の場合へ拡張すると共に,上記条件の物理的意味を明確にし,カオスの物理的意味と周期振動との関連を明かにすることが課題である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Masami Kuramitsu: "A Simple Electric Circwit Generating Caos" Proceedings of 1994 International Symposium on Nonlinear theory and its Applications (NOLTA). 1. 93-96 (1994)

  • [文献書誌] 倉光 正己: "3次元発振器のカオス発生に関する分類" 電子情報通信学会技術研究報告. NLP94・55. 113-120 (1994)

  • [文献書誌] 倉光 正己: "3次元発振器におけるカオス発生機構の検討" 電子情報通信学会技術研究報告. NLP94・38. 36-46 (1994)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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