研究概要 |
本研究では,環境情報を高速かつ高い信頼度で獲得できるアクティブなステレオビジョンシステムを構築することを目的とし,本年度は,アクティブな両眼視差の検出アルゴリズムの開発と,注視行動を自動化するために必要なハードウエアとソフトウエアを作成した. アクティブな両眼視差の検出方法の研究においては,観測者のアクティブな運動によりステレオ対応点問題が簡単になり,従来のパッシブな観測者では困難であったオクルージョンやフェンス越しのシーンのような特徴のないシーンに対しても,高速かつ高い信頼度で両眼視差を検出することが可能であることがわかった.種々のシーンを用いた実験により開発したアルゴリズムの有効性を示した. 注視行動を自動化するための研究においては,まず人間の目の運動を実現するためのハードウエア(ビジョンロボット)を作成した.これは,左右の目(カメラ)の運動を独立に制御するための3台のサーボモータと首の位置と姿勢を制御する2台サーボモータからなり,並列計算機(トランスピュータ)を用いて高速かつ高精度にカメラの運動を制御できる.カメラから入力された左右の画像は,画像入力ボードによりトランスピュータのメモリに取り込まれ,DSPにより画像処理することにより高速なビジュアルフィードバックを実現した.目の運動としては,高速に視線を変えるサッケード運動,移動物体を追跡するパーシュート運動,左右の視線を物体上で合わせるバージェンス運動,頭部の運動を打ち消す前庭性動眼反射(VOR)を実現し,これらを組み合わせることにより移動物体を両眼で追跡する方法を確立し,その3次元位置をリアルタイムで計測することができることを確認した.
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