昨年度の研究実績に伴い、本年度は、特にローリング、ヒービングに加えてピッチングのオンライン測定をも可能とする船舶姿勢自動計測システムの開発を行った。 これまでのローリング、ヒービングのオンライン計測システムでは、サーボ型加速度センサを船舶に適切に配置し、これらに現れるセンサ出力を適切に情報処理しカルマンフィルタを用いることにより、所望の計測システムを構成したが、ピッチングの測定ともなると、この方式ではピッチングバイアスの情報が得られず、ピッチングの完全な測定が困難となることがわかった。 そこで本年度の研究では、ピッチングバイアスの情報をオンラインで得るために傾斜角センサを用いることにした。しかし動的状態で傾斜角センサを用いると、その加速度(重力加速度以外の)外乱により出力に大きな誤差が生じるので、本研究ではまず傾斜角センサの可動部の動特性を求め、これを利用することにより、計測の問題を測定対象だけでなくセンサ類も含めたトータルシステムに対するものと位置づけ、所望の計測システムの開発を行った。そして、加速度センサ4個、傾斜角センサ1個の5センサ方式及び加速度センサ1個、傾斜角センサ2個の3センサ方式の船舶姿勢オンライン自動計測システムをそれぞれ開発し、これらはいずれも学会誌に投稿中である。 なお、本研究課題に関連し、ローリング軸の位置が明白でない場合にも適用可能なロバストな船舶姿勢オンライン自動計測システムも開発した。
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