研究課題/領域番号 |
04650382
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
円福 敬二 九州大学, 工学部, 助教授 (20150493)
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研究分担者 |
木須 隆暢 九州大学, 工学部, 助手 (00221911)
吉田 啓二 九州大学, 工学部, 助教授 (80108670)
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キーワード | 高温超伝導 / カイネテックインダクタンス / 磁場侵入長 / 電流分布 / 光応答 |
研究概要 |
超伝導体には、超伝導電子の運動エネルギーに起因するカイネテックインダクタンスと呼ばれる、超伝導体に特有のインダクタンスが存在する。このインダクタンスは光の照射に対して敏感に変化するため、この現象を利用した高感度の光センサが期待されている。本研究ではカイネテックインダクタンスの高感度測定システムを開発し、本測定法を用いて、光センサ応用の観点からYBaCuO薄膜のカイネテックインダクタンスの特性を定量的に明らかにした。本年度に得られた研究成果は以下のとうりである。 (1)光センサ応用ではカイネテックインダクタンスの微小な変化を高感度に測定する必要がある。このために必要となるインダクタンスの高感度測定システムを開発した。 (2)インダクタンスの特性を定量的に議論するためには薄膜内の電流分布を知ることが重要となる。このため、電流分布に対するG-L方程式を数値的に解き、薄膜内の電流分布の形状依存性を明らかにした。 (3)インダクタンスの温度依存性を実験的に明らかにし、その結果は従来のBCS理論と定量的に一致することを示した。 (4)インダクタンスの値はYBaCuO薄膜の品質に大きく依存することを示した。特に、薄膜の臨界温度Tc及び抵抗率ρとともに大きく変化し、その依存性は理論的予想と一致する事を示した。 (5)光センサの高感度化のためにはYBaCuO薄膜の厚さ(d)を磁場侵入長(1)に比べて薄くすることが有効であり、感度は両者の比(1/d)で増加することを明らかにした。また、YBaCuO薄膜としてはa軸配向膜が高感度化のためには有利であることが予想される。
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