研究目的は、進行波型超音波モータをアクチュエータとして使ったダイレクト・ドライブ・マニピュレータ開発し、このマニピュレータでコンプライアント動作を実現する事にある。進行波型超音波型モータは小型、軽量の特徴に加え、低回転速度で比較的大きなトルクを発生する特性をもつのでダイレクト・ドライブ用アクチュエータとして優れている。しかし、外力によるバックドライバビリティーに非線形性がありトルク0付近での安定性に劣る点で、ダイレクト・ドライブ・アクチュエータとして用いられた事はなかった。 この研究は、初年度の第1段階で進行波型超音波モータのトルクを連続的かつ良好な線形性をもって調節する技術の開発を目的とした。我々は、この技術をコンピュータ制御によるデジタル位相制御法によって確立した。この制御によって、進行波型超音波モータは外力に対する柔軟なバックドライドライバビリティを獲得し、等価的な粘弾性係数(スティフネスとダンピングファクター)を自由に調節できる可変インピーダンスアクチュエータとして確立した。 初年度の第2段階は可変インピーダンス・アクチュエータを使ったダイレクト・ドライブ・マニピュレータの開発を目的とした。このマニピュレータをSCARA型として設計製作し当初の目的を達成した。 開発したダイレクト・ドライブ・マニピュレータを使ったコンプライアント動作と一連の接触作業の実現は第2年度の目標であるが、これまでに、すでにその一部(障害物回避動作やクランク回し動作)を試験的に実現している。
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