形態的画像については超高速X線CT画像を、そして機能的画像については肺SPECT画像を対象に処理を行った。 1)形態的画像の3次元表示 腹腔動脈ならびに大動脈弓部のX線CT像を対象とした。まず比較的単純な症例を対象として十数枚の断層像から血管断面輪郭を計算機入力した。腹大動脈は左右の総腸骨動脈さらにそれぞれ内・外腸骨動脈に分かれる。この分岐を画像処理アルゴリズムを自動的に追跡分離し、ワイヤフレーム表現を行った。この研究では右総腸骨動脈が閉塞していたので血管造影像上にワイヤフレーム表現を重ね合わせ表示し閉塞部の血管部分もワイヤフレーム表現により明示できた。第2症例は左総腸骨動脈が蛇行部の処理を考える必要がある。ワイヤフレーム表現における体軸方向の血管輪郭線が各断層上の血管輪郭線上を通る線数に規則を導入することによりこの課題に回答を与えた。 大動脈弓部分は径の大きい大動脈部と、大動脈弓部上部から頭および腕へ分岐する右腕頭動脈と左総頚動脈そして左鎖骨下動脈を表示する必要がある。この研究では各断層像上の血管輪郭と、上下の断層像上の血管輪郭との接続関係についてのアルゴリズムは提案できた。しかし、ワイヤフレーム表現するまでには至らなかった。これは今後の課題である。 機能画像の3次元表示については特発性肺高血圧症例と対照例を対象とした。RI標識物質の集積塊は前者では肺腔内に不規則に分布する。これを約30枚のSPECT像を体積要素の積み重ねで表した。各体積要素にはカウント数が対応するが、局所的にカウント数が最大値を示す体積要素を領域中心として領域分割を行った。その結果合理的な分割がなされたと考えられるが、さらに検討を加えて検証したい。
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