最近のウォータフロント開発に関連して種々の浮体式海洋構造物の設置/建造が計画されている。水深が浅くなる沿岸域においては、浮体式海洋構造物に働く波強制力やその運動に2次オーダーポテンシャルに基づく長周期成分の影響が無視できないことが従来より指摘されている。 しかし、その影響を考慮した推定法についてはほとんど解明されていないのが現状である。このような観点から、本研究では平成4年度から2年間にわたり浅海域における波の特性並びに海洋構造物に働く長周期波浪強制力に及ぼす2次オーダーポテンシャルの影響を分析的に調査し次の知見を得た。すなわち、 1)造波機によって生じる長周期水面変動を調査し、造波機の基本運動角周波数が小さい場合には、2次オーダーの長周期水面変動の振幅は1次オーダーの波振幅に比べて無視できない。 2)水槽内に造波された2成分波中に固定された浮体の長周期散乱問題を解き、その長周期波浪強制力を求め、これを模型試験結果と比較すると、 a)水深が浅い場合には、長周期波浪強制力に及ぼす2次オーダーの速度ポテンシャルの影響は大きく、これを無視することができない。 b)造波機の造る2次オーダーの自由波成分を考慮しなければ、長波長域における長周期波浪強制力の値が不合理なものとなる。
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