鉄筋の腐食量と表面ひび割れ幅との関係については、実供試体に近い断面(20cmx30cm)を有するコンクリートはり(長さ100cm)13体を用いて、電食試験を行い、積算電流量、鉄筋腐食量、コンクリートの表面ひび割れ幅との関係を求めた。その際、主たるパラメータとして、スターラップ間隔を取り上げた。 その結果、積算電流量と鉄筋の腐食量には比例関係が認められた。ただし、通電による鉄筋の錆は、主鉄筋のみならず、スターラップ(主鉄筋との接触部はビニールテープで絶縁した)にも発生しており、ファラディーの法則通りにはなっていなかった。また、鉄筋腐食量とコンクリートの表面ひび割れとにも、直線的な関係が認められ、それについては、スターラップ間隔の大小によるひび割れの拘束効果の違いも認められた。 上記の供試体と同じ断面を有するはり供試体(長さ280cm)を用いて、鉄筋の腐食によるコンクリート表面ひび割れ幅と供試体の静的曲げ耐荷力との関係を14体の供試体により検討した。ここでは、ひび割れによる定着劣化の影響を調べる目的で、はり中央部に重ね継手を設け、鉄筋腐食量およびスターラップ間隔をパラメータとして耐荷性状の劣化を検討した。 その結果、コンクリートの表面ひび割れ幅が0.5mm程度以下での鉄筋の腐食量は、断面欠損に換算しても2〜3%程度で、通常のスターラップ量が配置されていれば、重ね継手での耐力低下も殆ど問題にならないことが分かった。
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