水中および気中における疲労試験の結果、湿潤環境下でRCはりが繰返し荷重を受けた場合、気中で曲げ破壊しても水中ではせん断破壊になりやすく、このせん断破壊においてはスターラップの疲労破断を伴わないこと、算定せん断耐力比(Rc:作用せん断力と二羽式によるせん断耐力との比)で整理すれば、a/d≧3.0の範囲においては、コンクリート強度や鉄筋量の相違は疲労強度にほとんど影響を及ぼさないこと、長寿命域になるに伴ってせん断補強筋の有無が疲労寿命に及ぼす影響が小さくなること、水中でスターラップの疲労破断を伴わないRCはりの疲労は、ある繰返し回数から急激に進行し、せん断力の大小による疲労寿命差はきわめて小さくなること等が明らかとなった。また、示方書に規定されていないせん断耐力式を暫定式として提案した。 また、耐久性に優れかつ引張り強度の高いCFRP板を接着して補強する工法が、現状において信頼性の高い鋼板接着工法の代用として適用できるかどうかの検討を行った結果、CFRP板を接着しかつ静的漸増荷重を受けたはりの破壊様式は曲げ破壊となり、曲げ剛性および終局強度とも増加することが明らかになった。繰返し荷重下におけるCFRP板を接着したはりの疲労破壊は、CFRP板の疲労破断ではなく、鉄筋の疲労破断によってもたらされ、また、CFRP板で補強したRCはりの200万回疲労強度は同一はりの静的強度の57%であることが判明した。
|