約240本の供試体に対して疲労試験を行い、コンクリートの圧縮疲労寿命の分布がどの分布モデルに最も適合するか、供試体寸法や繰返し載荷速度、コンクリートの静的強度などが疲労強度や疲労寿命のばらつきに及ぼす影響に関して検討した。その結果、最も適合性の良い疲労寿命の分布形は3母数ワイブル分布と対数正規分布であることがわかった。また、コンクリートの静的強度のばらつきと疲労寿命とのばらつきは密接に関係するが、コンクリート強度、供試体寸法および0.1〜15Hzまでの範囲の載荷速度は疲労寿命にほとんど影響しないことが明らかとなった。 次に、水中における鉄筋コンクリートはり(RCはり)の疲労試験では、湿潤環境下でRCはりが繰返し荷重を受けた場合、気中で曲げ破壊しても水中ではせん断破壊になり易いこもが明らかとなった。また、実験結果から、示方書に規定されていないせん断耐力式を暫定式として提案した。 最後に、炭素繊維補強プラスチック(CFRP)板の接着工法は、構造部材の鉄筋が不足している断面の不足鉄筋を断面の外側から補足でき、またCFRP板が錆びないために腐食環境下において広く使用されるようになると考えられる。このCFRP板で補強されたRCはりの静的および疲労荷重下における強度と変形特性を検討した結果、CFRPを接着しかつ静的漸増荷重を受けたはりの破壊様式は、曲げ破壊になり、曲げ剛性および終局強度とも増加することが明らかになった。繰返し荷重下におけるCFRP板を接着したはりの疲労破壊は、CFRP板の疲労破断ではなく、鉄筋の疲労破断によってもたらされた。CFRP板で補強したRCはりの200万回の疲労強度は同一はりの静的強度の57%であった。
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