1、コンクリートのクリープの非線形拳動に関する実験的研究結果 種々の大きさの応力によって生じるクリープ係数の大きさに差があるか否かを実験によって調べることにより、クリープひずみの非線形性を検討した。一般に、コンクリート構造物の設計示方書や規準においては載荷される応力の大きさが静的強度の40%以下であれば、クリープひずみは応力に比例するとされている。しかし、本研究の結果によれば、応力強度比が40%以下の低応力状態においても、クリープひずみの応力に対する線形関係は成立しない。さらに、応力強度比が40%以上の高応力下においては、ひずみの応力に対する非線形性がきわめて顕著であることが明らかになった。したがって、コンクリートのクリープ現象は、応力に対して非線形なものとして扱うべきであるとの結論が得られた。 2、非線形クリープ構成方程式の確立のための実験結果 クリープに影響する要因はきわめて多く、それらをすべて考慮した構成方程式を求めることは困難である。したがって、クリープ構成方程式の基本の形を決定する上で重要な載荷時材令および乾燥開始時材令をとり上げ、その影響について検討した。その結果、載荷時の弾性ひずみとクリープひずみとの関係は、基本的にはBaileyの方程式によって表わすことが可能であることが明らかになった。しかし、詳細に見れば、ある載荷時弾性ひずみの値を境にして、その拳動は大きく変化することがうかがわれ、Baileyの方程式を修正して適用した方がより精度の高い方程式の確立が可能であるとの知見を得た。また、非線形拳動の変化する点の載荷時弾性ひずみの値は、持続荷重載荷時材令および乾燥開始時材令の影響を強く受けることが明らかになった。 以上が、平成4年度における研究実績の概要である。
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