研究概要 |
X線造影撮影法を用いて、コンクリートのフラクチャープロセスゾーンを検出し、その性状を明らかにすることを目的とする研究を行った結果、本年度において得られた成果の概要は次の通りである。 1.片側に切欠きを設けたコンクリート小型引張供試体(25cm×25cm×5cm)中にあらかじめ設けた、複数の人工血管の中に造影剤を満たしておき、切欠きが開口する方向に載荷し、載荷の間、連続的にX線透過撮影を行った結果、最大荷重に達する前に既に切欠きの先端から多数の微細なひび割れが発生することが分かった。これらの微細ひび割れ群は、複雑に絡み合いながら、荷重の増加につれて次第にその発生領域の幅を広げ、成長するが、その最大幅は最大荷重時近くであり、その後はやや領域幅を減少させながら進展して行くことが分かった。 2.コンクリートの材料である粗骨材の最大寸法を5mmから10mm,15mm,20mmおよび25mmと変えたところ、検出された微細ひびわれ領域の幅は粗骨材の最大寸法と密接な関係があり、粗骨材最大寸法が大きくなるほどその幅も大きくなることが分かった。 3.測定した供試体の載荷荷重と切欠きの開口変位との関係から破壊に用いられたエネルギーを求め、供試体の破壊面で除して、破壊靭性パラメータの一つである破壊エネルギーGfを求めた結果、供試体コンクリートに用いた粗骨材の最大寸法が大きくなるほど、Gfの値も大きくなる傾向があることが明かとなった。
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