屋外実験を中心とした自然地盤の凍上力、及び模型杭における凍着凍上力の測定は3年目も引き続き行い、測定値の再現性と信頼性を確認した。一方、これら地盤凍上力に関する基礎データを基に、別途行っていた補強土壁の実物大模型実験において得られた凍結土圧の実測値との比較検討を行った。主な内容と結果は以下のようである。 1)自然地盤の単位面積当たりの凍上圧は5kgf/cm^2程度であり、3シ-ズンとも同様であった。すなわち、自然地盤の凍上力圧は凍結指数や凍結深さなどの季節的因子にはあまり影響されないようである。 2)模型杭に対する自然地盤の凍着凍上力においても、季節的因子の1)の凍上圧と同様であり、その値は円柱杭で0.8kgf/cm^2、平板において0.4kgf/cm^2程度であった。 3)別途行った実物大補強土壁の実験では、壁面ブロックに加わる凍結土圧のシ-ズンを通しての最大値は4.5〜5.0tonf/m^2(0.45〜0.50kgf/cm^2)であった。 4)この模型壁で発生する凍結土圧は、上記1)の自然地盤の凍上圧の1/10である。実構造物に加わる凍結土圧では、構造物の変形や自由面への力の解放などの影響が非常に大きい事が分かった。
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