全体を通して以下の4つの実験を行った。1)自然地盤の凍上圧を測定する屋外実験。2)自然地盤の凍着凍上力を測定する屋外実験。3)コンクリート表面への土の凍着強度を測定する室内実験。4)実物大補強土壁における凍結土圧測定。3シ-ズンに渡る屋外実験を中心としたこれらの実験結果の主なものは以下のようである。 1)自然地盤の単位面積当たりの地表面凍上圧は、3シ-ズンを通して5kgf/cm^2(50tonf/m^2)程度であり、凍結指数や凍結深さなどの季節的因子の影響は少なかった。 2)埋設したコンクリート製模型における単位面積当たりの凍着応力は円柱杭の場合で0.8kgf/cm^2、板(平面)の場合で0.4kgf/cm^2程度であった。これらの値はテ-パ-を付けることによって約60%に、さらに表面にペンキを塗布することによって約50%に減少する。 3)室内実験で得られたコンクリートへの土の凍着強度は温度や含水比によって異なるが、2)の屋外実験で測定された凍着応力に比べて大よそ1オーダー大きい。屋外実験における凍着応力は凍土層のクリープ変形や、一時的な暖気による凍着応力の緩和の影響が非常に大きいことが分かった。 4)実物大の補強土壁で測定された壁面ブロックへの凍結土圧はシ-ズンの最大値で4.5〜5.0tonf/m^2(0.45〜0.50kgf/cm^2)であった。この値は1)で測定された自然地盤の凍上圧の1/10である。実構造物では、構造物自体の変形や、背面土表面などの自由面への変形によって壁面への凍結土圧は大きく減少する。しかし、自然地盤の凍上圧の大きさからして、実構造物の形状や水分条件などによってはそれを上回る凍結土圧の発生が予測された。
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