凍上および路床、路盤の凍結ー融解による舗装道路の亀裂や破壌は長野県、群馬県、山梨県の山岳部で多発していたが、昭和59〜昭和61年には東北地方に寒波が襲来し、秋田県、岩手県、福島県の山岳部で凍上、凍結ー融解による道路災害が集中的に発生した。そのために、平成4年度ではこの地域における道路災害に関する資料を収集した。それによると各県の被害はそれぞれ1648、746、1958個所にわたっている。なお、現在、道路災害と地形条件の関連性を検討している。 これらの被害の原因を土質工学立場から解明するために、室内では、クローズドシステム、オープンシステムの二つの試験法で凍上特性、凍結ー融解後の土のせん断特性について検討を行った。その結果は以下のとうりである。 1) 水分の供給が自由なオープンシステムではシルト質土の凍上量は大きいが、砂質土では温度勾配、凍続時の排水のために凍上現象はほとんどみられない。 2) 水分の供給のないクローズドシステムでも土中水の凍結による体積膨張と土中水の移動による凍上が生じ、そのときの凍上量は不飽和土中のサクション力の小さいほど大きい。 3) オープンシステムで不飽土が凍結ー融解作用を受けると、含水比(飽和度)の増大がみられるのでせん断抵抗力・変形に対する抵抗力が低下する。このことが寒冷地の道路災害の原因と思れる。 4) クローズミシステムでも凍結ー融解作用を受ける不飽和土のせん断抵抗力の低下がみられるが、その大きさはサクション力と拘束圧力の比と一定の関係を有している。
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