平成5年度においても、現位置調査と室内でクローズドシステムによる凍結-融解を行った。その結果は以下のとおりである。 1.現位置調査結果 (1)長野・山梨・群馬の3県の山岳地帯で舗装道路の凍害調査を行った結果によると路面の被害は地下水位の高い個所では当然のこととしてみられるが、地下水位の低い個所でも路床部の飽和度が高ければ発生する。特に下部より水分の供給が多い個所では舗装部に亀甲状の亀裂が多くみられる。 (2)側溝やマンホールのある個所ではこれらの構造物を通して冷気が深部まで伝達されるので凍害が多く、マンホールが突出している例も多くみられる。 2.室内試験結果 (1)クローズドシステムで不飽和土が凍結作用を受けると飽和度の高い場合には体積は膨張するが、飽和度が低くなると逆に体積は収縮する。その後、融解すると、いずれの場合にも体積は収縮し、凍結-融解後には全体として体積は初期値よりも減少している。 (2)不飽和土が凍結-融解作用を受けると、サクション力(u_a-u_w)は低下し、せん断強さも低下する。このように供試体の密度が大きくなるにも拘わらず、せん断力の低下するのはサクション力の低下によるものといえる。 (3)したがって、凍結-融解作用を受けた土のせん断強さはサクション力の低下を考慮すると非凍結土の破壊基準と一致する。
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