研究概要 |
申請した経費より,既存の三軸試験機用にAEセンサー内臓型の載荷盤を作製して,凝灰岩を用い次のような実験を行った。(1)静水圧下におけるAE計測とそのカイザー効果,(2)軸差応力下におけるカイザー効果,(3)先行軸差応力を与えた試験片からコア抜きした試料の一軸圧縮によるカイザー効果等に関する諸実験である。以下,上記の各実験と番号を対応させて結果の概略を述べる。 (1)所定の静水圧下まで増圧する過程で明瞭なAEの発生が観察された。また,除荷後静水圧を再載荷すると,先行静水圧近傍でAEが頻発し,いわゆるカイザー効果が静水圧下においても認められた。 (2)先行軸差応力を与えた試験片に同一応力状態を与えると,同様に先行軸応力付近よりAEが頻発してカイザー効果が認められた。 (3)直径100mm,高さ200mmの試験片に所定の軸差応力与え,除荷後これより直径30mm,高さ60mmの一軸用試験片を方向を変えて6本コア抜きしこれらを一組とした。これらの試験片のそれぞれの方向において,軸(最大主応力)方向と側圧(最小主応力)方向においては,先行応力近傍でそれぞれの値が推定された。しかし,軸方向と45゚の試験片においてはカイザー効果の明瞭でないものが多いという結果が得られた。 以上より,三軸下の先行応力は三軸再載荷によって推定した方が,一軸三方向によるそれより精度が良いようである。これは,事前にある程度予測された結果ではあるが,両者を比較することにより得られた結果でもある。但し,前者が良好といっても,先行・再載荷とも主応力状態下であるので,その意味では限定された結果である。三軸再載荷は必ずしも容易ではないから,後者の方法の精度向上が可能であるか否かが今後の大きな課題の一つである。なお,被り圧方向が主応力の一つである場合には,後者の方法によってもその精度は十分期待できると思われる。
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