研究概要 |
地震時の安定問題で動的強度をどのようにして求め適用していくかについては重要な問題である。粘土の場合、砂と異なり圧密応力条件により繰返し載荷中に発生する発生する過剰間隙水圧の挙動についても不明な点も多く、強度に影響するより多くの因子をもっており複雑である。 当該年度の研究では、主にK_0正規圧密およびプレロードを加え過圧密された供試体について繰返し三軸試験を実施して動的挙動の基礎的把握を行い、静的非排水強度と比較検討した。得られた主な研究成果は、以下の通りである。 1.繰返しせん断試験より求められる上限降伏値および(ε_p=5%,N=20)で定義した動的強度は、静的強度と比較してプレロードによる強度増加はあまり期待できない。また上限降伏値とそれに対応する静的強度との比は過圧密比の増加とともに減少する傾向にある。したがってプレロードによって静的強度が増加しても、動的強度も同じように増加すると考えるのは非常に危険である。 2.K_0正規圧密の場合、繰返しせん断破壊は通常の静的等方圧密CU試験より求められる限界状態線上で破壊する。しかしK_0過圧密の繰返し破壊では、限界状態線を越えたところで破壊に至っている。本実験では新たに静的K_0過圧密CU試験より定義した限界状態線上で破壊しており、過圧密状態においては静的せん断破壊の定義より検討する必要がある。 平成4年度より本研究を行い、本年度が最終年度である。3年間の長きにわたり研究補助金等に関係した関係各位に謝意を表する。年度の場合、砂と異なり圧密および膨張過程に長時間必要である。そのため、この種の実験的研究において、データの集積にはやはり時間がかかることにご理解願いたい。現在本研究を土木学会等の論文集へ投稿し公表するための投稿準備中である。
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